日本各地にお店を構える1940〜1960年代を中心としたモダンデザインの素晴らしさを伝えるギャラリーやショップ。
日頃モダンデザインと向き合う彼らが影響を受けた「逸品」を、
その想いとともにATELIER MUJI GINZAでご紹介します。

商品写真をクリックすると、お店を構えたきっかけや、逸品との出逢いなどに迫る、
各ギャラリー・ショップのインタビューをご覧いただけます。

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ATELIER MUJI GINZA

Modernism Gallery Showcase

  • アメリカのモダンデザイン

    ヨーロッパ発祥のモダンデザインは、20世紀半ばからアメリカをもうひとつの中心地として活況を呈しました。特に第二次世界大戦が終わると、目覚ましい経済成長と人口増加を背景に、中流階級向けの工業製品のニーズが高まっていきます。ニューヨーク近代美術館（MoMA）が参画して優れたデザインを顕彰する制度が設けられたり、ヨーロッパからアメリカに移住した建築家が教育機関に携わるなど、モダンデザインを根づかせる動きは多方面で見られました。

    そんな中、デザイナーのチャールズ＆レイ・イームズは、戦時中に発達した新しい素材や技術を転用して、革新的な家具を次々に生み出します。モダンデザインの恩恵を多くの人々に行き渡らせた点でも、ふたりの功績は絶大でした。また建築家のジョージ・ネルソンは、イームズを起用したハーマンミラー社のデザインディレクターであり、自ら家具をはじめ幅広い日用品を発表。彼はジャーナリストとしても、1930年代からモダニズムの思想やモダンデザインの実例をアメリカに広める役目を果たしました。

  • ブラジルのモダンデザイン

    ブラジルは、ヨーロッパやアメリカに比べて工業化は遅れたものの、豊富な森林資源とその持ち味を引き出そうとする活力がデザインのリソースになりました。またオスカー・ニーマイヤーらを中心に、スケールの大きな近代建築が花開いた国でもあります。代表作である首都ブラジリアの建築群をはじめ、ダイナミックな曲線を取り入れたニーマイヤーの作風は、彼の家具にも同様の美しさをもたらしました。ブラジリアの建築のための家具を手がけたデザイナーのセルジオ・ロドリゲスも、20世紀半ばから独特のプロポーションをもつ木の家具を多く発表します。

    当時のブラジルに新天地を求め、ヨーロッパから移住した建築家やデザイナーも、モダンデザインの発展に大いに寄与しました。イタリア出身の建築家であるリナ・ボ・バルディは、自らの建築のためにデザインした多くの家具が再評価されています。それらはブラジルならではの素材と技術を生かしながら、合理的な構造が工夫されていました。

  • フランスのモダンデザイン

    フランスのモダンデザインに関しては、1920年代から建築家としてパリで活躍したル・コルビュジエをひとつの起点と捉えることができるでしょう。彼は20世紀を代表する先見的な近代建築の巨匠であり、同様の思想を家具のデザインにも発揮しました。初期の成果として、彼の設計事務所の共同設立者であるピエール・ジャンヌレと、同事務所に在籍していたシャルロット・ペリアンとの共作である、スチールパイプを用いた家具シリーズがあります。

    後に独立したペリアンは、主にインテリアデザイナーとして活動し、その空間で用いられる家具を数多くデザインしました。金属を用いた家具については、デザイナーとしても有名なジャン・プルーヴェの工房とのコラボレーションを行っています。またジャンヌレは、1950年代からル・コルビュジエが進めたインド・チャンディガールの都市計画のチーフアーキテクトに就任。その一環としてデザインし、インドで製造された無垢材の家具が、近年著しく人気を高めています。

  • フィンランドのモダンデザイン

    北欧に位置するフィンランドは、早い時期から地域性と深く結びついたモダンデザインを展開していきました。自然との共生や、人間性を重視する姿勢を、その特徴として挙げることができます。こうした性格を決定づけたのは、1920年代から活躍して後に国民的な建築家となるアルヴァ・アアルトです。彼は同時代のドイツやフランスで多く見られたスチールパイプ製の家具を参照しながら、自国の木材を活用して有機的なデザインを生み出します。その形態には豊かな自然からのインスピレーションがしばしば生かされました。アアルトの次世代にあたるイルマリ・タピオヴァーラもまた、西欧のモダンデザインに学ぶと共に、北欧のエッセンスを感じさせる家具に取り組みます。

    さらにその後の世代には、プラスチックを用いて人間工学に基づく椅子を探究したウルヨ・クッカプロがいます。人間を中心に据えたデザイン思想には、アアルトと通底するものを感じることができます。

  • 日本のモダンデザイン

    日本のモダンデザインは、ヨーロッパやアメリカのデザインを消化し、日本の暮らしに応用することで、独自の道を進んできました。1950年代に入ると、柳宗理、渡辺力、剣持勇といったデザイナーたちが頭角を現します。彼らが手がけたプロダクトには、現在までつくられ続けているものも少なくありません。特に剣持勇は、日本の伝統的なものづくりに欧米のモダンデザインと通じる美意識を見出し、ジャパニーズ・モダンというアプローチを提唱するに至りました。

    また高度経済成長期にあたる1970年代以降は、従来の合理主義的なモダンデザインを超えて、より感性に訴えかける表現が発達します。多くのインテリアやプロダクトを手がけた倉俣史朗の詩的な作風は、そんなムーブメントのシンボルとして絶大な影響をもちました。ファッションデザイナーの川久保玲も、その流れを汲むかのような独創的な家具を発表しています。こうしたムーブメントは、モダンデザインの次世代の傾向としてポストモダンとして括られることもあります。

 
 

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