お店の紹介、名前の由来、お店をはじめるきっかけを教えてください。
1920年-1970年代頃のヨーロッパヴィンテージ家具や照明器具の販売と、オーダー家具の製作を行っています。
ヴィンテージ品はコンディションの良い品を届けられるよう、全て当店にて分解や組み直しなどの修理、または磨きや再塗装などの加工を行っています。
家具製作では鉄工や木工を軸に製作しており1点からご相談いただいています。
Pocket Parkは小さな公園、省スペースにベンチが設けられたくらいの憩いの場。小さな規模ですがそういう場であれたら良いなと思い店舗名にしました。
はじめたきっかけは成り行きです…具体的に決めていなかった頃、初めて勤めた家具店のオーナーから「永井くん、目黒通りに小さいけど良さそうなところ空いてるよ、見に行ってみな」って言われて見に行ったら、パリのクリニャンクールにある小さな店(スタンド)みたいで気に入ったのでやってみようって。
どのようなヴィンテージアイテムを取り扱っていますか?
ジャンルとしては、モダン、インダストリアル、クラシックです。 年代には幅がありますが、現代プロダクトの原点と思える1920年〜1930年頃の品を軸に、1970年頃までをセレクトしています。
国や時代ごとのシンプルな形、作り方や素材感の良さ、出会いや稀少性、などから選んでいます。
影響を受けたデザイナーや、思い入れのあるアイテムを教えてください。
少し質問とはズレるかもしれませんが、サンプル品・模型・型(金型や木型など)に惹かれます。
完成品のために作られるものには、何だか未完成ならではの美しさやそこから広がっていく感じがしてとてもワクワクします。
それだけでは意味が伝わらないものでも、つい飾りたくなります。
Pocket Parkの看板というか、目印代わりにはフランスのディーラーに無理を言って譲ってもらった、古い鉄骨模型を飾っています。こちらは鉄製でリベット組みされていたりサビ止め塗装がしてあったりと縮尺だけでなく作り方を忠実に再現している事に魅力を感じます。
お店の近くにお薦めのお店や場所があれば教えてください。
近くだと目黒の権之助坂にある「とんかつ 大宝」ですかね。子供の頃にとんかつは出かけた際のご馳走だったので、今でも好きです。大宝さんはどれを食べても美味しいですが、よく頼むのはロースかつです。ご馳走なので贅沢に特上を。ご飯おかわりで。
今回、Modernism Galleryに出品いただく逸品について教えてください。
Marcel Breuer / THONET S32 Black
ハンガリー生まれのマルセル・ブロイヤーは、20世紀を代表するモダニズムの建築家、デザイナーです。バウハウスの1期生として学び、後に同校のマイスターを勤めました。
1925年バウハウス在籍中に芸術家ワシリー・カンディンスキーのために作られたワシリーチェア(正式名クラブチェアB3)などをデザイン。1937年にアメリカへ移住し、ハーバード大学の大学院教職に就任しました。1946年にはNYに「マルセル・ブロイヤー&アソシエイツ」を設立。代表作にパリの「ユネスコ本部」やNYの「旧ホイットニー美術館」などが挙げられます。20世紀の建築とプロダクトデザインに大きな影響を与え、今もなおモダニズムの父として賞賛されています。
このチェアは、1928年に発表されTHONET社が製造したものです。初期(1930年頃)のモデル名はB32(アーム無し)とB64(アーム付き)、1960年頃からS32とS64と呼ばれ、現代ではいくつかバリエーションが増えましたが、同モデルはS32VとS64Vと呼ばれます。
また、他に1950年代頃にはイタリアのGAVINA社からも正規で製造され、こちらはチェスカチェア(マルセル・ブロイヤーの娘の名前フランチェスカから)と呼ばれます。GAVINA社は1960年頃にKNOLL社に買収される事となり、以降から現在はTHONET社とKNOLL社の2社が正規の製造メーカーです。
この逸品との出会い、そしてあなたにとってどこがモダンデザインの逸品なのか教えてください。
僕が初めて勤めたヴィンテージショップで触れたバウハウス作品のひとつで、その頃は知識もありませんでしたがただ憧れました。このチェアは発表から約100年経っていますが、流行のように消費されず現在も色褪せずに生産が続けられていることや、生活様式が変化した現代の人や住宅などにも適応したデザインであることが逸品と言えます。
今後目指していること、展望などありましたら教えてください。
家具やインテリアの仕事を始めて20年くらいですが、まだまだ知らないことが多く発見の毎日です。と同時にとても面白いです。
今後もヴィンテージやオーダー家具などについて学びながら店作りをしていきたいと思っています。
また今回のような“Modernism Gallery”もそうですが、インテリアの魅せ方や在り方を広める活動にも貢献できたら良いなと思います。
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