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Interview 古道具 LET 'EM IN

お店の紹介、名前の由来、お店をはじめたきっかけを教えてください。

東京都国立市の古道具屋、LET 'EM INです。一度誰かが手放した物たちの中から、さまざまな文脈や直感で魅力を感じる物を招き入れる、そんな意味を込めました。その招き入れるセンスはこちら次第。日々招き入れるものの幅を広げて、自分のセンスもアップデートしていきたいと考えています。

店を始めたのは、前職で通い始めた日本の古物市場がとても興味深かったから。並ぶ物たちは玉石混合、何が玉で何が石か、それを判断して値付けするのは自分次第。そんな自由さが面白く、自分自身のセレクトセンスを表現するには最適と思い、「店」という場で表現したいという欲求が生まれました。もっとも、それ以前に他の仕事で食べていく自信がまるでなかった、という消極的選択の結果でもありますが。

どのようなヴィンテージアイテムを取り扱っていますか?

日本で使用されていた、各国の各年代の古いものを扱っています。基本的には「モダン・デザイン」という範疇に収まるものが多いですが、いわゆる「アンティーク」と呼ばれる時代のものも空間のアクセントとして取り入れています。日本という国、また、東京という都市はとても興味深く、さまざまな国の文化を、面白がりながら取り入れることができる精神的な土壌があるようで、本当にさまざまな国の物たちが眠っており、それらを一つの空間にまとめながら展示販売しています。

影響を受けたデザイナーや思い入れのあるアイテムを教えてください。

特定の人物やアイテムに特に影響を受けた、という自覚はなく、これが特に好き、といった好みも実はありません。強いて言えば、柳宗悦氏でしょうか。とはいえ、硬直化したいわゆる「民藝」的な価値観に全面的に共感を覚えているわけでもありません。収集ばかりに精を出し家族を顧みなかった一方で宗教家でもあったという柳の思想的バックボーンや、社会主義運動的な側面も持つモダン・デザインという活動と、それらの発展のためには実は必要不可欠でもある「資本主義」の主戦場である実体経済との関係性など、矛盾を抱えざるを得ない人間の活動自体に一番興味があるのかもしれません。

お店の近くにおすすめのお店や場所があれば教えてください。

国立市は、ヨーロッパの街並みを参考にして大正時代に作られた街です。南側は大学通りという並木道や一橋大学のある、落ち着いた緑の多い街並み。反対の北口は静かですが、レベルの高い飲食や物販の個人店が点在しています。中央線的なサブカルチャー的な側面がありつつ、武蔵野美術大学が近いことからデザイナーや作り手が多く、文教地区に指定されるほどアカデミックでもあり、さらに高級住宅街的な一面もあるなど、さまざまな要素がハイブリッドに混ざり合っているところも魅力の一つです。少しのんびりした空気感も、東京の西側である多摩地区ならではだと思います。

現在愛用しているモダニズムアイテムと、それに対する想いを教えてください。

自分で使う生活道具にはそれほど執着しない性格なので、なかなか思い浮かばないのですが、ハンガリーに旅行に行った際に現地で見つけたHollohaza(ホロハーザ)のモダンで可愛らしい60年代の小さなフィギュアたちは可愛すぎて手放せません。日本ではなかなか見つからないので、数を増やせないのが悲しいです...(笑)。

あとは自宅のリビングルームの照明で使っている、Flos(フロス)のJill。アッパーライトで天井を照らし、その反射光で部屋全体を明るくしてくれます。シェードとベースのガラスの質感が良くフォルムは洗練されており、調光付きで機能的。イタリアン・モダンデザインの精神がしっかり日常の生活道具に溶け込んでいて、長く愛用しています。

今後目指していること、展望などありましたら教えてください。

今まで「無し」だったものが、あるタイミング、ある地域、ある世代でいきなりというか、徐々に「有り」になる、その塩梅を追求していきたいというのは一生のテーマと思っています。あとは、今は一つ一つのアイテムを個別に販売している形態ですが、いろいろな要素を混ぜた「空間」をパッケージして提案する、という分野に進んでいきたいと考えています。なんせ古物は自由度が高いので。その面白みを空間として丸ごと感じていただけたら、と思っております。

古道具 LET 'EM INレットエムイン

LET 'EM INとは、「中に入れてあげよう」という呼びかけの言葉。日々通り過ぎていく、一度誰かの手に渡ったさまざまな物たちの中から、普遍的な魅力を持つ物、時代を経たことで違う魅力を発揮し始めた物を編集している。流行や他人からの評価から距離を置き、自分が本当に好きな物を見つけるためのお手伝いができたらと考え、日々物を集める。

〒186-0001 東京都国立市北2-13-48 ワコーレ国立101
tel 042-577-3452

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