お店の紹介、名前の由来、お店をはじめたきっかけを教えてください。
日本には1990年代後半のモダンデザインブーム(イームズブーム)以来、多くの素晴らしいヴィンテージデザインが輸入されています。日本人は海外への発送をすることが得意ではありません。また家具は一生物という考えがあります。その為に多くの良質なヴィンテージデザインが日本には眠っています。
1990年代前半の倉俣さんをはじめとるすデザイナーは国外で莫大な価値がつき人気があります。その頃のIDÉEからデビューしたマークニューソンの家具も世界的に高い評価を得ています。
これらの家具を正当に取引する場所は、私が2007年に主宰した Connect Auction 以来存在しません。国内の主要オークション会社にはデザイン部門の信頼のおけるスペシャリストはいません。リサイクル屋やヤフオク、メルカリではとても販売ができません。また多くのヴィンテージ家具のお店は1つの国やデザイナーに絞ったスペシャリストが多いです。
私たちは Connect Auction の時の経験からすべての国、年代、デザイナーに精通しています。もちろん、長年の経験の中で多くのヴィンテージ家具を身銭をきって仕入れました。偽物も多く見てきました。多くの経験からの信頼と実績があります。
また今の時代、ヴィンテージ家具を海外で買い付け、輸送をし販売するのは少し時代遅れです。ヴィンテージ家具はどんどん高額になっています。300万で仕入れた椅子をいったい幾らで販売するのでしょうか?お店の維持などを考えると最低でも500万をつけるでしょう。それは世界的な査定額ではありません。コストとお店の付加価値のついた価格です。もちろん綺麗に商品をディレクションしディスプレイし販売することは良いことです。
それなら国内で300万の査定額で商品を預かり、新たにお客様を見つければ誰もが徳をします。ヴィンテージ家具が綺麗に流通するようになります。
私たちには長年の経験による知識と世界中に信頼のおけるネットワークがあります。今まで培ってきた信頼と情報をビジネスにするチャンスがもう一度来たと思っています。Connect Auction で志した価値あるモノを正当に取引する場所をもう一度作ります。国内で良質なヴィンテージ家具が循環する場所を作ります。資産価値としてヴィンテージ家具を取り扱います。
どのようなヴィンテージアイテムを取り扱っていますか?
特に専門分野はなく、またお客様から委託でお預かりするのでワールドワイドなセレクトです。
また海外の主要オークションへの代理出品や代理落札をしています。
影響を受けたデザイナーを教えてください。
マーク・ニューソン。アイテムは自分に思い入れがあったら販売できないので特にモノにはないです。
それを手に入れたストーリーや委託してくれた方が購入した際のストーリーに思いが入ることはあります。
お店の近くにお薦めのお店や場所があれば教えてください。
近所のスーパーの焼き芋は美味しいよ。
現在愛用しているモダニズムアイテムと、それに対する想いを教えてください。
セブンチェア
1955年にデザインされたセブンチェア。3107の品番で呼ばれています。アントチェアから始まりエイトチェアまで長年にわたりritz Hansenの定番アイテムです。もちろんヴィンテージのセブンチェア 3107も存在します。現行品にはない素材を使っていたり、プライウッドが少し薄かったり、脚を接合している部分を隠すカバーが鉄であったり、とスタイルは同じですが仕様は少し違います。
3107シリーズの中でも最高峰は革で張りぐるみになったバージョンなのは今も昔も変わりません。革張りのセブンチェアはシンプルなデザインの椅子に込められた職人魂が感じられるプロダクトです。この形状に革を裁断し張ることは技術的に高いレヴェルが要求されます。Egg chair や Swan chair においてはそれ以上の技術が必要とされます。
3107に革を張るには前面、背面と2枚の革が必要です。その革の縫い合わせが発売された当時は手縫いで施されていました。どれだけ大変な作業かを私は職人さんから何度も聞いています。Egg も Swan も同じように2枚の革を使い、縫い合わせは手縫いでした。手慣れた職人でもセブンチェアを手縫いで仕上げる作業は1日以上の時間が掛かるそうです。そして身体への負担もとても大きいです。何故大変かというと革を伸ばしながら引っ張った状態で縫い合わせていくからです。手首にかかる負担がとんでもないと聞きました。
以上のような大変さもあったことから、1960年代からはモールディングのはめ込み式で縫い合わせが施されるようになります。写真の最後に現行品の後ろ姿の写真を載せます。モールディングが確認できると思います。モールディングは縫い合わせの際にはめ込むだけなので、そこまで負担もありません。
ヴィンテージの3107を長年扱ってきた私からするとモールディングの革張りのセブンチェアから魅力を感じません。ただの量産品にしか見えないのです。もちろん企業努力もあり、製品としての質の向上や均一化などのメリットが多いでしょう。しかし、オールドファンとしてはやはり職人技光る手縫いに魅力を感じてしまいます。
今後目指していること、展望などありましたら教えてください。
ジョージナカシマの世界的な回顧展の企画
ヴィンテージ家具を販売して20年。今は無き伝説の日本初のヴィンテージ家具のオークションハウスを主宰。
資産価値としてのヴィンテージ家具の普及活動をはじめました。購入や売却をお考えの方はご連絡ください。富裕層向けのインテリアアドバイザーのご依頼も承ります。
〒839-1321 福岡県うきは市吉井町1409-1
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