お店の紹介と、名前の由来、お店をはじめたきっかけを教えてください。
京都は下鴨にてSHOWROOMとして予約いただいたお客様にヴィンテージの生地や洋服、店舗什器やディスプレイ雑貨、海外の作家やメーカーのプロダクトなどをキュレートし、ご紹介している店舗になります。カナダ、アメリカ、ベルギーから北欧にかけて、時代を超えて長く親しんでいただけると感じた一点モノを揃えるように努めています。
事業名の由来は、自分が15年程生活をしていたカナダやニューイングランドエリア北部が、その昔NORTHWOODと呼ばれていたこと。また寒いエリアの人々は北欧やイヌイット・アイヌ民族同様に特異な風俗や文化を形成し、自分が好むデザインや佇まいに大きな影響を与えていることから、ノスタルジアを込めて名付けました。
はじまりは2005年、トロントで起業しました。はじめは日本やヨーロッパから来るクライアントに集めたVINTAGEや家具を卸すことがメインで、次第に生産用のサンプル探しや現地をアテンド・コーディネートするようになりました。
その中で次第に、地元の京都で小売を通して世界のさまざまな風土や文化を伝えながら、お店で出会う方々に暮らしの中に造詣や広い視野を持っていただけたらな、と思うようになりました。
2015年に京都木屋町にNoordという名で、国内外の作家やメーカーの作品と一点モノの古着と小物を扱うSHOPと始めました。Noordという店名は、単純に何度も通ったベルギーやオランダの街に必ず素敵なお店やカフェがあり、街の北側"Noord"だったこと、蘭癖の自分がオランダ語の中でも特に響きが好きだったのでそうなりました。
2019年に京都寺町にNIIという、Noordの2号店のような位置付けの店舗を始めました。こちらは用の美やクラフトマンシップを軸に、30代から70代の幅広い層に楽しんでいただけるように、手狭ながら7坪のギャラリーとなっております。店舗名は2号店、そのまま京言葉の"にい・NII"です。
どのようなアイテムを取り扱っていますか?
northwood
インダストリアルな什器からアンティークな教材、さまざまな国で仕入れた器、VINTAGEの生地や洋服、フォークアートや民芸に通ずるクラフト、MCMや北欧の家具などを、仕入れ先のHERITAGEを大切に並べております。
Noord
北米を中心に少し北国の色合いを基調とし、VINTAGEと国内外の作家やメーカーの作品を販売しております。特にここ数年、GITMAN BROSというペンシルベニアのシャツメーカーと別注で、"Alexander Girard" のテキスタイルデザインの生地のシャツを製作。
取り扱いブランド: trippen, kowtow, meanswhile, GITMAN BROS, DOUG JOHNSTON, terra1012, .urukust(どの作り手もHERITAGEがしっかり根付いたモノづくりで、テキスタイルやマテリアルからお話をして別注しております)
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NII
民藝やクラフトワークの小物、素材や質が良い品を構成し揃えております。
取り扱いブランド: Hannah Beatrice Quinn, i ro se, SCOSHA, trippen, kowtow, YUAN(石鹸), 吉川仁(器)
VINTAGEでは、Rörstrand, ARAVIA, gustavsberg, DANSK, Doug Ayer
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影響を受けたデザイナーを教えてください。
Finn Juhl
店舗設営やさまざまなデザインを考える際に、何度も手書きで真似た設計図や水彩の色合い、工夫された高低差など、京都の寺院や庭園に通じる感覚が自分に影響を与えていると感じます。
また家具に関しても、ブラシジリアン・ローズウッドに魅せられたきっかけは、彼のウォールユニットや椅子からでした。
お店の近くにおすすめの場所があれば教えてください。
northwoodは京都の下鴨というエリアにあり、近くにはNakagawa Komugiten(パン屋さん)や黒みつだんごが有名な美玉屋があり、とてもオススメです。
世界遺産の下鴨神社も上賀茂神社も荘厳として素晴らしいですが、近くを流れる琵琶湖疏水を大文字の麓まで辿ると、哲学の道という観光名所があります。その鹿ヶ谷一帯は坂の途中に京町家が点在し、法然院や永観堂、南禅寺や金地院など名刹が点在し、滞在するにも散歩するにもメディテーション的な要素が詰まったノスタルジアなエリアです。
あと、Noord, NIIの近くには京都御所があり、隠れた地元の憩いスポットです。
この20年で周辺には沢山の感度の高いお店やごはん屋さんが増えましたが、"vena"というイタリアンのリストランテは、味は勿論、店主の嗜好で集められたローズウッドの調度品がとても素敵な空間です。
わらび餅が美味しい亀屋博永さんも本当に間違いありません。
現在、愛用しているモダニズムアイテムとそれに対する想いを教えてください。
Harry Bertoia / 70's Diamond Chair テキスタイルフルカバー付き ブラックモデル
自分が16歳で古着屋で働き始めた頃、90年台中盤の京都はヨーロッパ古着とMCM、ヨーロッパのハイエンドファッションとクラブカルチャーで大きく湧いていました。洗練されたVINTAGE家具とヨーロッパの洋服、そこに粗野でだらしなくもアメカジの古着が、現地のカルチャーごと厳選されていました。そういった彼らの審美眼や伝達能力は、細部まで統一感のある空間演出であり、自分の憧れでした。
その後ファッションと音楽を通して、憧れるアーティストや彼らの背景には常にクラフトマンシップや造形美が存在し、自然とMCMやバウハウス、民藝やインダストリアルの世界に触れる事が増え、小物や椅子を収集するようになります。
商材であれ愛用品であれ、手元にある斬新だが普遍性があるモダニズムデザインに、時代を超えて飽きない魅力を感じます。グローバル化が進む現代においても、生まれや育ちが反映した作品や紹介する店舗には、後にVINTAGEとなるモノへの深い関わりを感じずにはいられません。
今後目指していること、展望などありましたら教えてください。
家具や洋服を通して、さまざまな国や地域のHERITAGEに触れていただける接客を心掛けております。2023年の6月以降、不定期ではありますが、northwoodを予約なしでご覧いただけるように、月数回の一般営業日も設ける予定です。
京都は下鴨にてSHOWROOMとして2009年より予約制でヴィンテージの生地や洋服、店舗什器やディスプレイ雑貨、海外の作家やメーカーのプロダクトなどをキュレートし紹介している。
〒606-0864 京都府京都市左京区下鴨高木町23 龜石ビル1F
Tel 075-722-0887