お店の名前の由来、お店をはじめたきっかけを教えてください。
ショップ名は、自分の名前です。お店をはじめる際、店名は営業内容やコンセプトに的確なものにしたいと思いましたが、さまざまな国・時代の家具に興味があり、具体的な内容を決定できなかったため、しばらく営業してから正式な店名をつけることにしました。
仮の店名として唯一納得がいった内容は、自分の名前をつけることでした。自分自身が素晴らしいと思う物を責任を持って販売することは、どのような営業内容においても共通なことでした。また、昔から自分の名前を商店の屋号にすることによって、責任の所在が明白であることも良いと思いました。商品が平均70年前のヴィンテージ家具のため、お客様にとって販売する私達の人柄や修理技術が重要になってきます。
ちなみに店名は15年ほど使用しています。
どのようなヴィンテージアイテムを取り扱っていますか?
取り扱いアイテムは、1950年〜60年代の北欧とヨーロッパのヴィンテージ家具です。中でもデンマーク製の家具に力を注いでいます。現在は手に入らない貴重なローズウッドやチーク材などの銘木が使用され、細部に至るまで拘りを持って丁寧に製作されています。外観の突板には、木目をシンメトリーに配置するブックマッチの手法が取られ、機能性を追求したシンプルなデザインの中には特徴的な美しい木目が使用されています。時代を超えて愛される普遍的なデザインです。
店頭では、北欧を代表するデザイナーの家具や定番のヴィンテージ家具の取り扱いに加え、同時代で活躍した、まだ日本で紹介される機会の少ないデザイナーの家具やアノニマスな隠れた名作を紹介しています。
影響を受けたデザイナーを教えてください。
Frits Henningsen / フリッツ・へニングセンです。
現在の家具デザイナーは、設計図を描き、製作は木工所へ依頼することが多いですが、フリッツ・へニングセンは、家具デザイナーであると同時に優れた家具職人でもありました。そのため自らデザインから製作までをこなしています。
当時、著名な家具工房の一つとして知られた、I.P.ムアク(I.P. Mørck)のもとで修業し、22歳で家具職人の資格を取得。ドイツ、フランス、そして英国などで修業を積み、コペンハーゲン市内に家具店を開業しました。その後、作品の大半を自身の工房で製作しています。クラシックな様式の影響を残しつつ機能的にデザインされた家具は、高い品質と洗練されたスタイルで、細部に至るまで製作技術が素晴らしいです。
Photo : Kazuhiro Shiraishi
お店の近くにおすすめの場所があれば教えてください。
お店から30~40分程で相模湖や秋川渓谷のような観光地、キャンプ場や温泉があります。お店は東京都八王子市にあり、車ですと高速の八王子インターを降りて15分程のところです。八王子インターは都心から40分くらいですが、八王子を通り越し更に30分程走ると都心では経験できない、おすすめの自然豊かな観光地へアクセスすることができます。
もちろんお店の近くにもおすすめのお店はありますが、ご来店いただいた際にご紹介させていただきます。
現在、愛用しているモダニズムアイテムとそれに対する想いを教えてください。
No.52 Compass Chairs / Erik Kirkegaard / Høng Stolefabrik / 1956’
1956年にデンマークのデザイナーErik Kirkegaard(エリック・キルケゴー)が、シェラン島のチェアメーカーHøng Stolefabrikより発表したNo.52 Compass Chair。コンパスのように繊細に伸びた脚部に、ハーフアームと一体化した背もたれが美しい曲線を描いています。創造的でありながら素晴らしい座り心地を実現しており、手に入れたのは20年程前ですが、いまだに手放さずに自分の手元に置いています。
今後目指していること、展望などありましたら教えてください。
大切なことは、今後も今までと変わらずです。資源の循環を続けて行くこと。
長年培ってきた修理技術を基に、ヴィンテージ家具の永続的な使用を実現し、後世に伝える仕事をすることです。
20年以上前ですが、ヨーロッパを旅していると各地域に家具屋の倉庫があり、扉を開くと汚れた外観からは想像できない貴重なアンティーク家具、ヴィンテージ家具や雑貨のコレクションが所狭しと満杯に置かれていました。今でもあの時の衝撃は忘れられません。しかし、圧倒的な物量は近年では見ることはできなくなりました。海外に輸出され、本国でもヴィンテージ家具の存在が少なくなってきています。
ここ10年、日本にもヴィンテージ家具は沢山輸入されました。生活で使用され、そろそろ修理が必要な時期かもしれません。ヴィンテージ家具はしっかり修理を行えば永続的に使用することができます。修理が必要な際はお声がけください。また長年大切に使用できるように修理いたします。
1950年〜60年代を中心に北欧・ヨーロッパのヴィンテージ家具を取り扱う。「私達は長年培ってきた修理技術を基に、ヴィンテージ家具の永続的な使用を実現し、後世に伝える仕事をしています。」
〒192-0041 東京都八王子市中野上町5-3-4
Tel 042-621-6380